「心──引き裂くほどに魅了される」
シャドウアイルの黒い霧が次に呑み込む者は?
鎖を引きずる耳障りな金属音が野にこだまする。自然に在らざる霧が月と星々を覆い隠し、鳴り響いていた虫の声がピタリと止んだ。
終末は一人の男の手によって始まった。今ここに「破滅」の端緒を書き記そう。
セナは息を呑みつつ目を覚ました。吐息が冷え込む夜の空気に白く漂う。腕も、脚も、首も、背中も、汗に濡れて砂にまみれていた。
足元のまっさらな白い石の上に、深紅の血だまりが広がっていた。そしてその傍らには刃の折れた剣。周囲を取り囲んだ刺客たちが地面に影を落としていたが、彼にはひとりの女しか見えていなかった。
ジャックドー団の男が、顎骨に錆びついた錐を突き刺されて吊るされていた。ブッチャーブレード団の連中の仕業だ。後始末は、波止場の腐肉喰らいどもに任せるという寸法だろう。その晩、フードをかぶった男が殺されたギャングを目にしたのは、これで十七人目だった。
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